高齢化社会に向けた地域コミュニティ主体のテクノロジー・ソリューションを目指して
日本NPOセンターとキャラバン・スタジオの共同プロジェクト


この共同プロジェクトは、当初、キャラバン・スタジオの「コミュニティ主体のデザイン手法」を学ぶために、日本の地域コミュニティの専門家との対面式ワークショップを開催することで企画されていました。しかし、世界的なコロナ禍の広がりのため、 個別ワークを含むオンラインでのワーク を中心とした活動に変更されました。
このサイトは、わたしたちが行った共同作業や方法論を紹介し、日本の参加者がデザインしたアプリのローファイ・プロトタイプ(簡易版プロトタイプ:自身のアイデアを多くの人に伝えるための携帯端末用アプリの簡単なスケッチ)に対してより多くの方々から意見を提供いただく機会を設けることを目的にしています。
この孤立した不安な時期に、このプロジェクトに関わってくださった参加者のみなさんにとても感謝しています。本プロジェクトは、在日米国大使館の助成を受けて実施されました。

イラスト:
Nozomi Ichikawa


オンライン・ワークショップ
オンライン中心の作業に変わったことで、日本側の参加者が、地方と都市の両方から、また遠く離れた場所から参加可能になったという意味で、ワークショップは新たな機会を創造したといえます。
このオンライン・ワークショップには、地域のまちづくりに携わる日本各地のNPO支援センター、社会福祉協議会、地方自治体、大学、技術者など、実務者及び研究者8名が参加しました。参加者は、キャラバン・スタジオの方法論を使って、日本の高齢化社会が抱える問題を解決するためのローファイ・プロトタイプを、個別作業と共同 作業を組み合わせながらデザインしていきました。
ランドスケープ(状況)のマッピング
まず参加者は、自身の選んだ地域における高齢化社会の課題や、高齢者に関するつながり、高齢者をサポートするために利用できるリソース(地域資源)を調べました。このワークでは、参加者はそれぞれの地域をインターネットで調査し、地域課題に関連する情報を把握・特定しました。参加者は各自で調べた状況のマッピング情報をオンラインで共有し、他の参加者やファシリテーターからフィードバックを受けました。参加者が調査した地域は以下になります:北海道旭川市、茨城県常総市(および県域)、新潟県妙高市、富山県黒部市、東京都世田谷区、大阪府堺市・和泉市(泉北ニュータウン)、兵庫県神戸市、沖縄県那覇市(幡多川地区)。

生み出す
参加者は、地域課題に関するオンライン調査と状況マッピングをもとに、日本の高齢化社会が抱える問題を解決するための創造的で 革新的なアイデアを促すための「デザイン・クエスチョン」(※「私たちはどうすればすることが可能か?」という形式を使ったデザインに関する質問)を生み出しました。この段階で、各参加者は複数のデザイン・クエスチョンに対するアイデアのリストを個別に作成し、皆で集まってそれらをプロジェクト参加者全員に共有しました。プロジェクト主催者のファシリテーションによって、各参加者のアイデアに対する小グループでの議論を行い、インパクトの大きさやデザイン・クエスチョンとの整合性という観点からのオンライン投票を行いました。これらのアイデアやプロジェクト参加者からのフィードバックは、その後のローファイ・プロトタイプに反映されることになります。
デザインする
参加者は、このプロジェクトの対象者をより深く考えるために、主要なユーザ ー(サービス利用者)の特徴や行動を組み合わせた簡易版の「ユーザー・ペルソナ」(※企業の製品やサービスを利用するさまざまな顧客タイプを表すために作成された架空の人物)を作成しました。また、ユーザーが新しいテクノロジーツールをどのように知り、どのように実生活に取り入れていくのかを認知、開始、相互連携、提唱、インパクトという観点から考えました。



